「木工房 春のはな」ペンを持った家具屋 納品ルポ 第1弾 (2014年9月)

安全でおいしいご飯とお母さんたちの交流の場に


つくばみらい市の自然食の食堂 
             “はる屋” 服部裕子さん
 


人口急増の新しい街

「イメージどおりでお店にぴったりだわ」。開店を明後日に控え、準備に忙しい服部裕子(はっとりひろこ)さんは納品したテーブルを見て笑顔で喜んでくれました。

 今回の納品はオークのテーブル。服部さんが9月18日に開店させた自然食の食堂、“はる屋”(茨城県つくばみらい市)で使われます。

 はる屋は、つくばエクスプレスのみらい平駅から徒歩約5分。無農薬、有機栽培でつくったこだわりの野菜を販売する農産物直売所「風の村」の2階にオープンしました。

 この辺りは、つくばエクスプレスの新駅ができ、人口が急増した地域です。駅前には大きな商業施設と真新しいマンションが建ちます。若い家族が増え、保育園や小学校も新しく整備されています。

 はる屋では、「子どもたちとお母さんに、安全でおいしいご飯を食べていただき、同時に様々なワークショップや勉強会等を開催して、同じ地域で子育てをする母親どうしで、学んだり、楽しんだりする交流の場にしていきたい」と、服部さんは意気込みます。


大きなマンションが建つみらい平駅前=つくばみらい市

わが子のアレルギーにショック

 服部さんが、はる屋のオープンを心に決めたのは二つのきっかけがありました。

 一つは、長男(現在中1)が、1歳半の時に食べ物が原因でアフィラキシーショックが現れました。「食べたもので死にそうになるなんて、とガツンとショックを受けた」といいます。次男(同小4)もアトピー症状で苦しみました。

 「よく考えれば食べ物がおかしい」と気付いた服部さんは、食物について勉強を深め、伝統的な日本の食文化の良さを再認識しました。そして、食養をコンセプトにした病院で働いたり、生協で料理教室を開催するなど実践を積んできました。

 服部さんは、「いまの食事は、農薬や肥料漬けの作物、添加物たっぷりの加工食品が当たり前です。そうではなく、主食のご飯をしっかり食べて、その土地で旬にとれる食べ物を、味噌やしょうゆ等の発酵調味料で、加工しすぎない形で料理して食べる。これがずっと日本人が食べつないできた食だと思います」と力説。はる屋では、「雑穀や旬の野菜でつくったご飯を出します」といいます。


震災後、お母さんたちで放射能の勉強会

 はる屋オープンのきっかけの二つ目は、2011年3月の東日本大震災でした。

 震災そのものの被害もありましたが、特に、福島第一原発の事故で、茨城県南部のつくばみらい市近辺も放射能汚染、とくにホットスポットといわれる局地的に放射能汚染のひどい場所がたくさん見つかりました。

 服部さんは「ホットスポットの問題でこのあたりは大騒ぎになりました。でもテレビなどでは報道もしないし、情報もありません。そこで子育て中のお母さんたちのつながりで勉強会をひらいたり、知ったことを伝えたりするなかでその場をしのいだのです。こうした人のつながりが世の中を動かす原動力だと感じました」といいます。

 放射能問題の勉強会などでつながったお母さんたちの仲間が増え、いろいろ行動に移している人もいます。なかには、産じょく院を始めたり、ダンナが脱サラして有機農業をはじめた仲間もいるといいます。


駅から離れると田んぼや畑が広がります=つくばみらい市

お母さんたちと子どもの集える場所を

 こうした地域のつながりを大事にして集まれるように、「お母さんたちが、おしゃべりをしたり、勉強をしたりするコミュニティ食堂をつくることを思いついたのです」。服部さんは「安くて安全な野菜を売っている店よりも、駅前の大きなスーパーに買い物に行く若いお母さんもいます。自分で気をつけていないと流されてしまいます。子どもを守っていくために安全な食などの情報提供と一緒に考えていければ」といいます。

 そして、はる屋を「お母さんたちの友人のうちのように気軽に入れて、小さな子どもたちも来れる店にしたい」と希望を語ります。

 はる屋にはテーブルと座布団が並びます。「ちゃぶ台と座布団の店づくりをしたい」服部さんが、注文したのは幅1b、奥行き35a、高さ35aとこぶりなテーブル10脚です。

 無垢のオーク材でできたしっかりしたつくりです。塗装は、子どもが舐めても大丈夫という安全性の高い、ドイツ・リボス社の植物性のオイルで塗装されています。「木工房春のはな」のホームページで写真付きで紹介されていたスタッキングできるオークテーブルに魅かれました。

 当初は、片付けてスペースのできるスタッキング(積み重ね)機能付にしようかと思いましたが、「ぴったりくっつけて何人でも集えるようにしたい」と同機能なしのシンプルなテーブルにしました。

 このテーブルは、二つあわせて四人がけにしたり、大人数では四つ合わせたりしてフレキシブルに使うことができ、いろんな場面に対応できます。

開店日、ワークショップ開催の計画話に花


 9月18日の開店日、はる屋には服部さんの友人たちが駆けつけてくれ賑わいました。開店二日目には店先の黒板を目に留めて来店した人も含めて、近所の方々が来店し、用意した食事が早々に売り切れました。

 お店では早速、お店でのワークショップ開催の計画の話に友人たちが花が咲かせました。ある友人は、「お片づけのワークショップ」や「布ナプキンを縫う会」の開催を計画し、別の友人も、クリスタルボウルの演奏会もいいねと話しました。

 はる屋は当面、ランチ営業だけで午前11時から午後3時まで。メニューは週替わりランチプレート880円、お茶(お代わり自由)はプラス120円、スウィート付はプラス200円、お子様プレートは500円となっています。