信州・伊那のこだわりパン屋 野良屋さん


贅沢な材料を使い、石窯と薪で焼く

 雪の舞い始めた12月中旬、信州・伊那の山中にある石窯で焼くパン屋さん、「野良屋」を訪ねました。


贅沢で厳選された材料

 

 ひと口、食べてみる。“ん〜、普通の食感。”ですが、2、3回、もぐもぐしているとだんだんクリーミーなおいしさと抑えた甘さが口の中に広がってきます。口の中からなくなってもおいしさの余韻が残ります。



 いただいたのは「シュトレン」。ドイツのクリスマス菓子で、クルミなどのナッツやレーズンなどのドライフルーツがたっぷり入っています。

 野良屋のパンは、贅沢で厳選された材料を使っています。このシュトレンは、石臼で挽いたライ麦や岩手県産の有機小麦の生地に鹿児島県産の粗糖や地元長野県産の平飼卵、北海道産バターを練りこみ、有機レーズンや同クルミなどを混ぜて焼き上げています。

 小麦粉は本来の味がするということで、北海道で特別に栽培してもらった物も使うなどこだわります。

 おいしいはずです。



自家製の天然酵母と薪をつかった石窯

 さらに、これらの厳選材料を引き出すのが、自家製天然酵母と石窯です。

 天然酵母は地元のリンゴとすぐそばの畑で取れたニンジンをすりおろして作ります。長年、水分を足したり、酵母のエサを与えたりして、日々育てながら作っています。野良屋の経営者で“パン職人”の塩田三枝子さんは「ぬかみそのように大事に育てている」といいます。

 

 

<石窯の前に立つ塩田三枝子さん(左)と息子の素也さん>

 手製の石窯は家の一角にあります。石窯でパンを焼くことは、とても手間と忍耐のいる仕事です。

 まず、7時間ほど薪を焚いて窯を暖めます。そしてパン生地を投入。投入すると窯の中の温度は下がります。焼け上がって出し、次のパン生地の投入時には温度は上がる。常に窯の中の温度は変化します。パンの種類も高温で入れたいパンもあればそうでないものもあります。

 石窯には温度計はなく、薪の種類によって火力が違うので温度管理は難しい。何度も失敗し、試行錯誤を繰り返してきた三枝子さんは窯の側面をさわって確かめるほかは、「すべてはカンが頼り」といいます。

 こうして焼いた野良屋のパンは風味がよく、長持ちします。美枝子さんは「お客様から、うちのパンは日を置いてもおいしいと教えてもらったの」といいます。実際、売り場から引き上げてきたパンは味が熟成しているといいます。

 家具作家で、自宅近くで家具工房を建設中の息子の素也さんは、「自家製の天然酵母なのでいろいろなものが混じっておりそれが味を熟成させているのでは」といいます。

 野良屋のパンは地元の産直店の一角や松本クラフトフェア、善光寺びんずる市などのイベントで販売するほか、ネットでも購入可能です。いまでは、十数人が定期的に何年も続けて購入してくれているといいます。

ペチカと板倉の家  我が新工房の参考に


 今回、野良屋さんを訪ねた直接の目的は来年、本格的に構想が始まる自分の家具工房の参考に、息子の素也さんにお話を伺うことでした。

 素也さんは、ご自身のホームページで自分の工房のプランや自力建設の進捗などを報告されていて、それを読んで興味をもったからです。工房の方は、建前に続き、サッシを入れ床張りが終わって、外壁工事に移っているところでしたが、木をふんだんに使う板倉がまわりの風景ともマッチしていて素敵でした。

 特に、関心を引いたのは、工房が、柱と柱の間に厚めの板を落とし込む板倉構造をとり、暖房器具としてペチカ(これまた自力施工)を採用しているという点でした。

 板倉構造とペチカは、ご両親の営む野良屋の建物にも共通です。ペチカはストーブなどで薪を焚き、その排出する煙の熱をレンガ製の煙突に蓄熱するというもの。薪の熱を逃がさずにつかうというものです。

 自宅にあったペチカは、ぽかぽかと家の中を暖めていました。

 私の自宅は、薪ストーブでつくった熱を土壁で蓄熱する構造ですが、やはりペチカの方が、熱を逃がさずに十分に利用していると感じました。
 ちなみに塩田さんちはお風呂やキッチンのお湯も薪を利用したボイラーで沸かしています。信州の寒い気候もふんだんにある地場産の薪で手を動かして乗り切るという“暖かい”生き方をされているご家族でした。


野良屋 http://noraya.net/ 長野県伊那市高遠町荊口1425

電話 & FAX : 0265-94-3618 Mail : info@noraya.net






















飾りつき見出しサンプル

標準サイズの文字がここにはいります。
標準サイズの文字がここにはいります。

見出しセル      
データ セル データ セル